Hayashi et al., 2024
Ryota Hayashi, Hiroki Higashiyama, Koichi Goka (2024) Rethinking nomenclatural acts: questions in taxonomy by the dedications to mythology and fictional monsters. BioScience, doi: 10.1093/biosci/biae113
この論文では、神話やフィクションに由来する学名が、国際動物命名規約(ICZN)の規則にどのような課題を投げかけるかを考察しています。
具体例として、ゴジラシリーズのキングギドラに由来する学名を付けられた環形動物 Ramisyllis kingghidorahi を例に、キングギドラはオスなのか、また単数の怪獣と認識していいのか、さらに、キングギドラは献名の対象となる個体名なのか、三つ首三頭の怪獣を総称する分類群名なのではないか、という命名規約上の接尾辞について議論しています。
まとめでは、特に性別接尾辞の問題や、架空のキャラクターを対象とした命名がもたらす分類学上の影響に注目しています。また、こうした命名が分類学を広く普及させる一方で、規則との整合性を保つために科学者が慎重さと規範の理解を求められることを論じました。
この論文の執筆にあたっては、大量のキングギドラフィギュアコレクションを持つ五箇公一さんからゴジラシリーズに登場するキングギドラたちの形態の違いについてご教示いただき、また脊椎動物の進化形態学を専門とする東山大毅博士にその違いを説明する図と記載文の執筆にご協力いただきました。
国立環境研究所からのプレスリリース:種の命名行為に関する再考:神話や架空の怪獣の名前を使うことが招く分類学上の諸問題
Not Cited (at 2024/12/23)
20241221 朝日新聞でHayashi et al. 2024の内容を記事としてとりあげていただきました。
『キングギドラ、学名にどう使う 検証論文著者が伝えたい分類学のこと』