Hayashi & Ohtsuchi, 2025

屋久島で長く続けさせてもらっているアカウミガメの付着生物調査の中で、カニ類がいくつか採集されました。カニ類の分類学を専門とする大土直哉博士の協力を得て、過去の調査記録の中からカニ類をピックアップし、種同定を行い、これまでにウミガメ類から採集された世界中のカニ類の記録を網羅的にまとめました。

本研究では４種のカニ類をアカウミガメの体表面から採集し、そのうち３種についてはウミガメ類からの新記録となっています。また、ウミガメからしばしば発見されるオキナガレガニについては流れ藻によく付いていることから、宿主としているウミガメ個体はあまり潜ることがないのではないか、カニの有無がウミガメの個体ごとの生活史の指標になるのではないか、という議論をしています。オキナガレガニの付いている個体とそうでない個体にデータロガーを装着し、その経験深度の記録をとることで、カニとウミガメの生活史の関係を明らかにできるかもしれないと考えています。

Not Cited. (2025/1/27)